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三輪×片山シリーズ
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 ランチタイム攻防戦


「…もう一度言ってくれますか?」

「だから、これから、受験が終わるまで、平日の夜は会えねぇって言ったの!」

親が俺の為に用意したマンションで、片山さんの為に、料理をしていた俺に、困ったような、それでいて、照れたようなふくれっつらで、片山さんはそう言った。
俺は、その様子が可愛くて、料理を作る手を止め、悲しそうな演技をして片山さんを見つめる。

すると、さらに、困ったような顔で、片山さんは、さらっとして引っかかりのない髪をわしわしっ、とかきながら話しを続けた。

「美大の受験は大変だし、俺、デッサン弱えぇしさ、だから、研究所でデッサン力つけねぇと落ちるって言われた」

研究所って言うのは、田舎のこの辺で、一軒しかない、元どっかの美大教授がやってる絵画教室の事だ。
部の顧問北川の先輩だかなんだかで、OBもそこ行って美大行った奴が何人かいるって聞いてる。
だから、片山さんが行きたいっていうのも分かる。

「それで夜はうちに来ないで、そこに行くというわけですね?」

春に美術部に入部して出会い、そこらの女より女みたいな顔なのに、かなり男らしい性格が可愛くて、好きになった。
押して、押して、押して、押し倒して手に入れた片山さん。
最初はかなり嫌がったけど、最近ではどうも、俺を恋人として認めてくれている。かもしれない。

そんな片山さんが、学校が終わってからうちに来てくれるようになったのは、最近だ。
それも、俺がたのんで、なだめて、脅して、やっと素直に来てくれるようになったと思った矢先だった。

休みの日はそれなりに会ってはくれるが、当然毎週ではない。
俺はそれが不満で、今度はそこを崩そうとも思っていた。

だから、ここが崩しどきかもしれない、計算高いと自他共に認める俺はそう思って策略を練る。

俺は、本日の夕飯に作っていた筑前煮の火を止め、キッチンのテーブルに座ってこっちを見ている片山さんの横の椅子に座った。

「あぁ、そういうことだ」

俺の方へ向き直り、そう言った片山さんんはちょっと悲しそうな目をしていた。
もしかして、片山さんも寂しいと感じてくれているのかも。
そう思うと俺はうれしくて、にやけてくるが、顔を引き締め、辛そうに片山さんを見た後、視線をそらせた。

「そうですか…それじゃ、しばらく学校でしか会えませんね……」

片山さんの目には、俺が寂しそうに映っているだろう。
思惑は成功し、片山さんはあわてた声で、代案を言ってきた。

「いや、その、あ、その代わり、日曜日はここに来るから」

俺は片山さんの見えない左手でガッツポーズを決る。

「え?いいんですか?」

「ああ」

「絶対ですね?後であの時はノリで言ったから、とか言いませんか?」

「!そんな事はぜってーいわねぇ!男は一度吐いた言葉は絶対守るもんだ!!!」

鼻息をもらしそうな勢いで、片山さんはそう言った。
片山さんならそう言うと思っていた。
俺の考えていた通りに事が運びそうだと、ひっそりとほくそえんだ。

「そうですよね!片山さんは男らしいな〜。俺はそうはいきませんけどね」

「おぅ!俺を見習えよっ!後輩っ!!」

「そんな先輩が大好きですよ」

「あ、ちょ、ちょっと、待っ…」

俺は片山さんの顔を両手で挟み、口を塞いだ。
急な展開にあわてて、逃れようとしばらくは暴れていたが、片山さんの舌を吸い上げた頃にはおとなしくなり、その上おずおずと舌を絡ませてくる。

俺は愛しくなって、さらに深く舌を絡め、片山さんの口を味わっていく。

口から、二人の唾液が混じり、こぼれ落ちた。

それを舐めとろうと、俺が口を離すと名残おしそうな、片山さんのトロンとした瞳を見付け、俺はいけると確信し、耳元で、ささやいた。

「続きはベッドに行きますか?」

片山さんは真っ赤になって、俺の胸に顔をうずめ、小さく頷くのだった。

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