<< BACK
三輪×片山シリーズ
STORY > 凪 >


「……いや、……大丈夫か?晴貴」
「え、……あ、はい。……最近、胃の調子が悪いみたいで……」
「……ストレスか?」
「そう、なのかもしれない、です」
「……晴貴にそんな顔は似合わない。そんな表情をさせる……三輪に腹が立つ」
「……は?」

 三輪?
 益子さんは、確かに、今『三輪』と言わなかったか?

 驚いて益子さんを凝視すると、苦笑いが返ってきた。

「知っているよ、晴貴が三輪と高校の時から付き合っている事。だから、さっきの嫉妬深いって子は三輪だろう?」

 唖然と益子さんを見る。
 その驚きで胃の痛みなど気にならなくなった。

 てか、

 バレてた!
 バレテタ。ばれて……

 なんで?ばれた?

 でも、……益子さん、知っててもずっと態度変わらなかったな。
 いい人。なんだ。やっぱ、益子さん。

「どうして解ったと思う?」
「え?」
「私が、晴貴をずっと見ていたから気が付いたんだよ?」

 そう言って視線を外さないままじっと見られると、言われた言葉を実感してしまう。
 どういう意味か知りたいような、聞きたくないような……。

 だけど、
 まさか、
 そんな事……。

「晴貴。……三輪とそんな状態の時に、こんな事を言うのは、卑怯かもしれないが、……私は、ずっと、晴貴が好きだ」

 こ、告白!?

 突然の益子さんの告白。
 予想もしていなかったそれ。

 顔が熱くなって行くのを感じる。

……しょうがなくね?だって、告白だ。しかも嫌いな奴じゃなくて、尊敬してる人つーのがもうやばい。

 正直、益子さんに好かれるってのは、嬉しい。
 そういう意味でという事でも。

 けど、嬉しいって気持ちと俺が好きになるって事はまた別の問題で……。

 俺はもう、三輪以外となんてそんな事を考える事すら既に出来なくなっているのだから。

「益子さん……その、俺、……」
「ああ、いいよ。晴貴。別に今はまだ応えは求めないから。……ただ、知っておいて欲しかっただけだ」
「……でも」
「晴貴、いいんだ」

 強くそう言われ、それ以上拒否の言葉を口にする事が出来なくなった。

 はっきり、無理です。と伝えた方が良いのは解ってるのに……。

「男同士の悩みを他で言う訳にはいかないだろ?私は解ってる。だから、晴貴は遠慮なく私を使え。三輪との事で傷ついたら私が聞いてやるから……」
「そんな……、そんな事出来ません」

 そんな風に益子さんを利用するような事出来るはずがない。

 この人は、俺の事を好きだと言う。
 だったら、三輪との事を聞くのも嫌だろう?

 俺だったら絶対無理だ。

 平気な顔をしても、きっと、心の中は傷がつく。
 いくら鈍感と言われる俺でも、それくらいは解る。

 そう思って否定したのに、益子さんは、

「私の事は気にするな?もう何年晴貴に片思いしていると思っているんだ。今更そんな事くらいで傷ついたりしない。……それに、そうしている間に晴貴の気持ちがこちらに向くかもしれないだろう?」

 軽い口調でそう言った。

 最後のは俺の気持ちを軽くする為の言葉だろう。

 あくまで、俺の気持ちを優先してくれるつもりだろう益子さんに、心の中で感謝した。

 けれど、やっぱり、三輪との事を話して益子さんを傷付けるのは嫌だから、その事を益子さんに話すのは止めよう。
 そんな決意を密かにした。



niconico.php
ADMIN