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三輪×片山シリーズ
STORY > 凪 >
13





「いっ…ァアッ!…三輪、みわ……」

 しつこい程に解きほぐされたそこに三輪の熱い楔を埋め込まれ、その衝撃に俺は弾けた。
 仰向けの状態で飛び散った白い自身の飛沫が俺の腹を濡らす。

 中に納まった其れを馴染ますようにジッとしてる三輪が、俺の放った飛沫を指で掬い取りくちゃと音を鳴らして啜ったのをどこかぼんやりと眺めていた。

「この味を味わうのも俺が最後です。晴貴、覚悟してくださいね。俺は嫉妬深くてしつこい男ですから」
「……ん、知って、る」

 止まった動きで余裕が出来て俺がそう応えると、途端に動いた三輪の其処が良い部分に当たって身もだえる。
 声を漏らしながら俺はシーツを掴んで耐えた。
 
「ア、あっアあっ」
「覚悟できてるんでしょう?……ねえ、晴貴」
「んっ、アァ…ちが……そう、いう意味、じゃぁ…ァアッ、ねー、ダロ…っは!」
「そう言う意味も含んでますよ、当然。……というか、まだ、そんな口が聞けるんですね……その余裕気にいらないなぁ」

 中でぐちゃぐちゃと動いていた三輪はそう言うと、ズルリと抜けるほどに引いていった。

「んぁ!なに……あ、アッ、アァんっぁ!」

 何んだ?と思う間もなく、孔周辺の肉襞を一緒に一気に最奥にまでたどり着く。
 そしてまた、すぐに引き……激しく抽挿されるその動きに俺は翻弄され、段々と脳が快楽に支配されていくのを感じた。

 そうなれば、俺はただもう三輪の熱さを受け入れるだけで、甲高い嬌声と一緒に三輪の名を叫んでいた。

「ああ、アッ…みわ、三、輪。んっ……んあっ…みわっ」
「ん……ね、晴貴。俺の、名前を呼んで?」
「んぅ…は、みわ…ああっ、みわぁっ…」
「そうじゃない。晃己(こうき)でしょ。ね、晴貴。俺の名前を呼んで下さい……ね」

 俺が落ち着くようにか激しくかった動きはなりを潜め、けれど、胸に付いた膝をこじ開け結合部分が見えるように身体を曲げられゆっくりと抽挿されれば、それはゾクゾクした新たな快感へと変化しただけ。

 返って募った熱に浮かされてしまった脳は、俺に名前を言えと強要するが、でもその名を呼ぶにはまだ熱が足りていない。

「嫌っ…だ、みわ、ああっ、みわ…んっ」
「言って、ください……っ」
「なぁっ、んで、そんなに…んっ」
「……いつまでも名字って、なんか他人行儀だと思いませんか?でもまあ、理由、解ってますから、普段は、しょうがないです。けど、これからは、こんな時くらい名前、呼んで下さい。……そう呼ばれて俺も晴貴をもっと感じたいんです」

 しっかり閉じていた瞳を、三輪の言葉を頭で認識して開けた。
 三輪は緩やかでそれでいて強く俺の中を擦り上げながら抜き刺ししている。

 その表情は情欲と、少しの悲しみが滲みでていた。

 三輪の名前を呼ばない理由なんて一つしかない。
 それはくそ兄貴と同じ名だからだ。

 普段から兄の事を呼び捨てにしている俺は「コウキ」という発音に酷く敏感で、もし三輪を名前で呼ぶ事になったら、いつまで経っても拭えない気恥ずかしさを感じるだろう。

 特に、こんな状況で名前を呼べば、兄貴とヤッているようでおぞましく、本当に勘弁して欲しかったのだ。

 だからこそ三輪の名前を知った時、こいつの事は絶対に名前で呼ばないと決めた。

 だからどんなに頼まれようとそれは無理な相談で……。
 けれど、名前を呼ばれる心地よさと幸福感を俺は知ってしまった。三輪の望みも理解出来る。

 そして、こんな状況でしか言い出せなかった三輪に愛しさが募った。

「あ、んっ……いい、よ……み……こ、うき」

 相変わらず緩やかな動きを見せていた三輪は俺の言葉に一瞬硬直した。
 次の瞬間中の三輪自身が一回り大きく育つのを感じて、肌が粟立つ。

 それを一気に埋め込まれ俺の最奥を抉る。息をするのもままならない程の悦楽に飲み込まれた。

「アッ!あ、あ、あ……あっ!」
「晴貴、晴貴……くっ…ァ」

 自分の中で暴れ始めた快感をどうする事も出来ずに、膝の辺りを持っていた三輪の腕にギリッと爪を立てて耐えた。
 視界が滲んでいて、自分の目に涙が溜まっているのが解る。目を閉じると涙が俺の頬を伝った。

 それは生理的なモノなのか、それとも幸福感からなのか、快楽に酔い始めた俺には判断が付かなかった。

「こ、…き。あ、……くっ。こう、きぃ……も、だめ、だ。ヤ…イッい…ぅん…っア!」

 ガツガツと激しく出入りし始めた三輪に、俺の限界が近づく。
 
 早くイキたい。
 もっと三輪を感じていたい。

 相反する気持ちが葛藤し、でも、そんな間も与えないように三輪の手が俺の愛液を溢れさせている其処に触れる。

「あっ!んんっ!駄目、だ。触ん、なぁ、ぁあぁっ…」
「……くっ…絞めすぎ、晴貴。そんなに良い?」

 朦朧として閉じていた瞳を開ければ満足気に微笑む三輪が、それでも欲情した表情で俺を見下ろしていた。
 その顔を見た途端俺の熱も上昇し、感度が上がっていく。

「いい、よ……ッアあ、あふっ…ぅん…はァ…ッ、こ、きは?…ンッ」
「いいよ。もちろん……。晴貴の中、俺を離さないように一生懸命締め付けて、それでもヒクヒク動いてくるから堪らない」

 俺の身体は三輪に馴染み、それが三輪を熱くする。
 三輪の欲情した表情に、俺の身体も反応する。

 それが嬉しくて、三輪とどこもかしこも繋げたくなった俺は、手を伸ばして名前を呼びながら三輪を求めた。

「あ、こうき、……んっ、ふぅ、んんっ…はぁ」

 それを察した三輪が身体を屈めて口を合わせてくれる。
 その唇を、その舌を貪るように絡めた。

「……ん、晴貴、……好きです」
「は、んっ、…おれも……アッん」

 確認するまでもない言葉を俺達は紡ぐ。
 言葉に乗せればそれは媚薬となって身体を更に熱くさせた。

 三輪と密着した腹にあるぐちゃぐちゃの場所から湧き上がる快楽が、俺に限界を告げる。 

「くっ……あ、あっ。こ、ぅきっ、イク。な、もう、出る…ぅあ…あ」
「いいよ、先イッって」
「あ、嫌、んぁ!……はっ、一緒に、イキ……ああっ、な、あ、一緒に」
「……じゃ、ココ自分で押さえて我慢して?」

 言われた通り手を移動させ、しとどに濡れた場所を押さえる。
 三輪は俺の両足を担ぐと、激しく深い抽挿を始めた。

「あ、あ、アアっ…」

 脳が痺れ俺の口からは、もう意味の無い言葉しか出ない。
 飛びそうな意識を賢明に繋いだ。

「……ァ、いいよ。晴貴、も、イク」

 その言葉と共に手を外され、三輪の大きな手が其処を激しく上下する。

「や、ああっ、あアァ、こ、きぃ…ぅん、あア!」
「く…あ、はるき、愛してる……ぅッ」
「あ、あ、…ん、はっ…アッ」

 三輪の迸りを身体の奥に感じながら、俺も白い飛沫を飛び散らせた。

 中に三輪を感じながら、幸福感に涙が一筋流れ落ちた。
 それに気付いた三輪が優しげな表情で拭ってくれる。

 三輪の思いも、俺の思いも重なった。
 そんな実感が俺を嬉しくさせる。



 言葉の足りない俺達はこれからも色んな誤解や思い違いをしていくだろう。

 けれど同じ過ちは二度と犯さない。


 間違ったらそこからやり直せば良い。
 苦しくなったら今日のようにお互いに吐き出せば良い。

 遠回りをしたって大丈夫。
 この先どんな事が在っても壊れる事のない思いが俺達の中で育っているのが解ったから、俺達は安心して言葉を紡げば良いんだ。


 そうした分だけ近づいて笑っていられる刻が増える。
 そうして積み上げた道をお前と一緒に歩いていこう。



 なあ、三輪。

 お前に未だ言えていない言葉がある。


 恥ずかしすぎて言葉になど出来なかった。
 解りきっているからと言わなかった。


 でも、揺るぎないその言葉を今お前に正直に言おう。



「晃己……愛してる」
 



Fin 

 
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