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三輪×片山シリーズ
STORY > ランチタイム攻防戦 >




「う…腰がいてぇ…脚がだるい…動けねぇ…」

筑前煮の仕上げをし、ほうれん草の和え物が出来た時に、ベッドの方からうなり声が聞こえてきた。

俺はいつでも食べられるようにテーブルにお茶碗とかをセットし、キッチンの直ぐ隣、ベットのある部屋へ向かう。

「気がつきました?」

部屋の入り口からそう声をかける俺に、ベッドから半身だけ起きあがった裸の片山さんが、睨みつける。

「三輪、お前、…無茶すんなっ」

「はは、片山さんがあんまり可愛いから、以後気をつけます」

「こんなの、もう絶対すんな、こ……」

なにか、言いかけ、片山さんは、うつむいて顔をそらし、黙った。

「え?何ですか?」

「なんでもねぇ、ともかく、やめろよ?」

「それは、極力努力しますが…」

「努力って、絶対すんなてーのっ!」

「なぜ?気持ちよかったでしょ?」

「ばっ!!」

俺は、部屋に入り、ベッドに座った。
片山さんは、顔を真っ赤にしている。

「気持ちよすぎて、失神しちゃいましたもんね?」

「!!言うんじゃねぇー、バカ!」

「いいじゃないですか、たまには、またそんななる位気持ちよくしましょう」

片山さんを前から抱くと、片山さんは俺の胸にことんと頭を落として、こんなに近くにいないと聞こえない声でつぶやいた。

「それが、怖ぇーんだよ、バカ」

俺は驚いた。いつも強がり言って素直じゃない片山さんが、素直に感情を言った事が信じられない。
片山さんの顔を上げ、顔を見てまた驚いた。

なみだ目だった。

「ちょ…泣いて……」

片山さんは、動揺する俺の胸に、もう一度頭を摺り寄せ、顔をかくしてしまった。

「うるさいっ……でも、本気ですんな、マジ、怖ぇ…………」

動揺したが、俺はともかく、安心させようと、片山さんを抱きしめる。

「何がそんなに怖いんですか?」

「…………………………………俺じゃ、なくなる」

片山さんはぽつり、ぽつりと言葉を紡いでいる。
俺は黙って片山さんの言葉を聞いた。

「………あんなの………俺、じゃねぇ。…次にあんななったら、俺…もう、きっと引き返せねぇ…」

引き返すってどういう意味だ。俺と別れるって事か?とちょっとムカつくが、せっかく片山さんが、素直になってくれているので、兎に角最後まで話しを聞く事にした。

「…そうなってから、お前に捨てられたら、俺はどうしたらいいんだ…」

あ、そういう事。
察しのいい俺。さすが。

要は、そんな身体にした責任をとれるのか?って事だろう。
それを考えて怖くなったと。

か、可愛い。すっごい可愛いっ。
こんな可愛い、片山さんを俺がどうやったら捨てるというんだ。
ありえない。絶対、ありえない。

未来の事なんて、今まで考えてなかったし、考えてもしょうがない事だってある。
どうなるかなんて、誰にも分からない。

けど、俺は、絶対片山さんを離さない。というか、離せるかっ。
その為だったら、なんでもしよう。

俺は、片山さんをぎゅっと抱きしめ、安心させるようにやさしく言った。

「大丈夫、片山さん、俺、絶対離しませんから、一生あなたの側を離れない、あなたが嫌だと言っても」

片山さんはそれを聞いて、身体を固めた。

「…それ……本気か?………」

俺は片山さんを抱きしめていた手をはなし、片山さんの顔を上げさせ、見つめる。

「本気です。日本にいる限り、結婚とかはできませんし、子供もできませんけど、二人が一緒にいられるように、最大限の事をしましょう」

うれしそうな困ったような顔をした片山さんに、俺は「ね?」といって触れるだけの口づけをした。
そして、もう一度ぎゅと抱きしめた。

俺の胸にうずくまった片山さんが、幸せそうな声でつぶやく。

「俺が嫌がっても、って、ストーカーみたいだな、お前。…………逃げるかな」

そんな事いってもだめですよ。声がうれしそうなんだから。

「逃げれませんよ。俺からは、もう」

「そう、かもな…」

今日、俺は人生を決めた。片山さんを幸せにしよう。俺の一生をかけて。
俺はすがすがしさと幸福感で一杯だった。
それは、片山さんも同じだろう。

俺は幸せで、片山さんをしばらくそのまま抱きしめていた。
が、片山さんが裸なのを思い出した。
秋口とはいえ、夜は寒い。風邪を引かせるわけには行かないだろう。

俺は、片山さんから手を離した。

「さ、風呂に入って暖まってください、ご飯もできてますよ」

「ん」

あっ!と、ご飯という単語で思い出した、昼食の件。
片山さんはあんな状態だったから、覚えてないかもしれない、念を押しておく事にするか。

「あ、そうだ、明日の昼食は何にします?」

「え?何で?俺の昼食をお前に言わな……………」

そこまで言ってなにかに気がついた、片山さんは、俺の顔を見て、困惑してる。

あ、やっぱり、食べると言わされた事は、覚えてないな。

「覚えてますか?片山さん、お昼一緒に食べるっていってくれたでしょう?だから明日から弁当作っていきますから」

片山さんは、にっこり笑って教えてやった俺の言葉を聞いて、間髪いれずに否定してきた。

「言ってねーよ!」

「言いましたよ。えっちの途中で」

さらりと言ってのける俺に、しばらく口をパクパクしていた。やがてすこし怒気を含んだ表情の、でも赤い顔に変化して、俺の胸倉を掴み顔を近づける。

そんな顔近づけると、ちゅーしますよ。ちゅー。

「嘘つけ!!!いつ!俺は嫌だといったはずだっ!!」

「片山さんが、最初に失神する直前。俺この耳でちゃーんとききましたけど?」

片山さんは、思い出した。って顔をして、真っ赤になった。
そして、次の瞬間、さらに怒気をまして、今度は怒りで、顔が真っ赤になっている。

分かりやすすぎます。片山さん。

いや、でも、その顔もすごく可愛いいんですけども。

「い、言った、かもしんねーけど、てめぇ!!はめただろっ!」



「はめようがなにしようが、片山さん、『男は一度吐いた言葉は絶対守るもん』ですよね?」

日ごろいつも言っている言葉に、追い討ちを掛けられ、片山さんは悔しそうに俺の服から手を離した。
それでも、俺を睨みつけたままだ。

「くそっ、そーだよ、男に二言はねぇ!一緒に食ってやるよっ」

そう言葉を吐き捨てて、片山さんは俺から顔を背けた。

「屋上で二人きり、いいな〜。屋上、絶対人来ないんですよ〜暖かいし。雨の日とか寒い日はまた考えましょうね」

「…逃げてやる」

楽しそうな俺を嫌そうに一瞥して、ベットから降りざま、ぼそっとつぶやいたのを、俺はもちろん聞き逃さない。

「なんて言ったんですか?今」

「別に」

ふくれっつらで、脱ぎ捨てられたシャツを拾っていた片山さんの手を、俺は引っ張ってベットに引きずり込み、押し倒した。
そして、すこし歪んだ笑顔を作り、顔を近づける。
こんな時の自分の笑顔が片山さんに与える精神的恐怖を計算して。

「逃げれる筈ないでしょう?わかんないなら、もう一度教えましょうか?」

そう言って、全裸の片山さんのむき出しのモノをするっと触る。

「う…ちょっと、待て、嘘、もう無理。マジで無理!」

あせる片山さん。

ま、冗談なんだけど。これ以上、今日するのは、片山さんに酷だろうと。思ってるし。

冗談ですよ。と言ってやろうと思った時、

「逃げない、ってか、わかってるだろーー逃げるはずねぇーって事」

とか言った。

「だから、な、今日はもう、ご飯食べて、あ、そうだ、今日はほら、泊まってくし、一緒に寝れるから、っていうか…」

あせって、言ったセリフもまあ良かったけど、その顔のかわいらしいことこのうえない。
自分で言ったセリフで赤くなって、さっきまで、泣いてたからか目は潤んで・・・
極めつけは、ちょっと、怯えてるってとこだろうか。

反則。

ダメだ………虐めたい、啼かせたい。あ、本気でやばい。たってきた。

俺、きっと、変態?かもな。

「泊まるなら、いいでしょ?もう一度確実に覚えてもらいましょうか」

「いやだーーーっ無理っ。無理。おちつけ、三輪っ!」

「それこそ無理です」

そう言って、俺は、なにか言おうとした片山さんの口に、深い口づけをおとした。
片山さんはキスに弱い。おとなしくなった片山さんの口から吐息が漏れはじめると、ちょっとだけ残っていた罪悪感も消し飛んで、圧し掛かった。

この日片山さんは、筑前煮を食べる事は出来ず、家には、俺が電話した。

次の日仲良く遅刻して、お昼に嫌そうな片山さんと筑前煮の入ったお弁当を食べた。

幸せだ〜。俺。



Fin




ランチタイム食事券を獲得した三輪。乗せられた片山。でも片山は幸せ。なんつってもプロポーズっすからっ!!(笑)

あ〜〜あ、のっけからプロポーズだよ。
これからも二人を見守ってやってくださいませ<(_ _)>


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