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三輪×片山シリーズ
STORY > 休日争奪戦 >

「ハァ……俺、なにしてんだろ」

俺は放課後の誰もいない教室で持っていた、携帯を握りしめ、机に突っ伏した。

屋上で三輪と別れてからもう2週間。
俺はあいつの顔を見ていない。

昼飯にも奴は誘いに来なかった。
休日の件もこっちから三輪に電話するなんて芸当が俺に出来る筈もなく、結局三輪のマンションに行かなかった。

学校には来ているはずの三輪。
でも、2年と3年じゃ、校舎が違う所為か偶然には会えない。

それでやっと、どっちかが会おうと行動しない限り、会う事が出来ないって事に気がついた。

このまま終わってしまうかもしれない。
でもこのまま終わりになんて出来ない。

そんな考えが頭を巡り、さっきから三輪に電話しようと、携帯にあいつの名前を表示させるが、どーしても通話ボタンを押せずにいた。

くそ、三輪のあほたれ。

大体あいつは、いつも自分勝手なんだよ。

自分の主張を人に押し付けるし、
自分勝手な理由で人の事押し倒すし、
いっつも自分の良い様に持ってくし、
人の心ん中に踏み入ってきやがるし……

なのに、今んなって、こんな事するし、俺の気持ちなんてお構いなしって感じだ。

ああっ、だんだん腹が立ってきた。

自分から三輪に会いに行くなんてしたくなかったけど、会いたいというより、怒りをぶつけたい気分になった。
今なら、まだあいつは、部活で美術室にいるかもしれない。
どうせ怒りをぶつけるんなら、電話より会った方いいに決まってるし、最後かもしれないし、な。

そこまで考えると悲しくなったが、自分的に逃げるような事はしたくない。
終わるなら自然消滅じゃなく、はっきり三輪の口から聞きたい。

俺は立ち上がり、教室を後にした。





美術室に近づくと、中から数人の話し声が聞こえ、その中に、少し低めの三輪の声が混じっていて、あいつの存在を感じた。

「……っ」

それだけなのに、俺の心臓がどきどきと高鳴る。
久々に聞いた三輪の声に切なさ、なんつーもんまで、感じて戸惑った。
その上、さっき考えてた「最後かもしれない」って気持ちに拍車がかかって、中に入るのを躊躇し足を止める。

ほんとなさけねーけど、それくらいは、三輪の事が好きなんだ。きっと。

だから結論を求めて俺はここに来たんだから。

俺は決意を固めて、俺は美術室の開け放たれた扉から中を覗いた。

中では、美術部の後輩達がデッサンそっちのけで、騒いでいた。
三輪を中心にして。

三輪の横には、仲のいい、瀬田と中山。
中山が三輪の耳元で何かいい、三輪が瀬田の頭を小突く。
瀬田は、怒ったような顔で、三輪の髪を引っ張っている。

友達同士の普通の光景。
なのに、俺の中で、今まで感じた事のない、何か嫌なものがむくむくと沸き上がるのを感じる。

なんだ?これ。

声を掛ける事も忘れ、その様子に見入る俺。

瀬田が中山の耳に顔を寄せ、何か話すと、中山は笑って瀬田を見る。

その光景に俺は怒りを覚えた。

こらっ、離れろ。中山&瀬田っ。
そいつに触るのは、俺だつーの。

……………………
…………
……

完全に、嫉妬してる。俺。
ただの友達である中山と瀬田に。

前、こんな光景当たり前に見てたし、その時はなんでもなかった。
たしかに、部活に出なくなってからは、三輪のこんな所見た事なかったけど……。

それにしても、こんな事くらいで嫉妬を感じるって事は、それほど三輪が俺の中に入って来てるって事か……

三輪の言ってた事を理解して、自分の拙さに愕然とする。

理解出来なかったのは、今までの相手の事をそこまで好きじゃなかったって事。
三輪は最初から、俺の事をこんなに好きでいてくれてたんだ。
それに気が付かず三輪の事を傷付けた。

許してくれなんて言えないけど、このまま終わらせるなんてのも出来ない。

俺は、決意を固め、三輪に声を掛けた。

「三輪」

声を掛けられ、俺に気が付いた三輪は、一瞬辛そうな顔をした。
でも、すぐにその表情を消し、笑顔を作ると俺の方へゆっくりと近づく。

そう、笑顔を作っているのが俺にはわかった。
何を思って、笑顔を作っているのか、そう思うと俺の気持ちは沈んでいく。

そんな俺に三輪は、「ここでは話しができませんから」と言って、屋上へと誘った。

三輪は俺がなんの目的でここに着たかわかっているのだろう。
そして、自分の気持ちも整理がついているのかもしれない。

三輪の気持ちを聞きたい。

さっきまでそう思っていた筈なのに、三輪の顔を見て気持ちが萎えた。
あまつさえ、逃げてしまいたい衝動に駆られ、戸惑う。

結論を先延ばしにしても、しょうがない。
そうは思っても、心がついていかない。

こんな事も初めてだ。
いつもの俺は、物事をはっきりとさせておきたくて、どんな辛い事でも結論を求めた。

なのに、今その結論を拒む自分がいる。

ほんとなさけねぇ。
俺がこんな弱ぇなんて思わなかった。

かと言って逃げる事も出来ず、俺は黙って三輪のあとについて行くしかなかった。


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