<< BACK
短編
STORY > 凌駕する愛 >
凌駕する愛 side 海里


「あ、ぁ…やめっ…あ…あ…はっーーんっ………」

「いつも先生はダメだとか、嫌だとかそればっかりだ、たまにはもっと違う事言ってよ」

「…う…んんっ、…あっ」

「ねぇ、先生、俺を見て、先生をそんなにしてるのは俺だよ?」

「ん、…ふっ……じゅん…や…あ、やぁ〜〜〜〜っ」


永遠に続くかと思う潤也との繋がりは、俺にとって、快楽と苦痛のおりまじった地獄だ。
だが、罪を犯した俺には、ちょうどいい。

地獄………いや、俺には天国なのかもしれない。



潤也はどこかあいつに似ていた。

夏の太陽のようなあいつの雰囲気に、笑顔に、まぶしそうに俺を眺める目線に、、、似ている。

初めて会った時にそう思った。


二度と目にする事がない、二度と手に入れる事が出来ないと思っていたものが目の前にある。

欲しい。

その思いは、砂漠の砂が水を吸収するがごとく早い速度で俺を侵食していった。




あいつに会った時もそうだったのかもしれない。
幼かった俺は、その感情がなんであるか気がつかなかった。

ただ、あいつの側にいたかった。
俺だけが特別になりたかった。

恋が愛に変わり気がついた時には、すでにあいつの側には別の奴がいた。

俺は親友と言う枠にしがみ付き、あいつの側から離れなかった。
いや、離れられなかっただけだ。

側で見るあいつの幸せそうな顔は苦痛以外を俺に与えない。
それでも側を離れる事が出来なくて、俺は壊れそうだった。

誰でもよかった、俺を見てくれるなら、たとえそれが偽りでも。

可愛いなぁ…
好きだよ…
お前だけだ…

そんな、俺の望む言葉をくれるなら誰でも。
そうしながら、俺はあいつを思い出し、あいつに抱かれていたんだ。


誰とでも寝る


そんな噂がたっていると俺に電話してきたあいつ。

電話で口論になって、もうどうでもよくなって、つい言ってしまった。

すべてを。

あいつはしばらく黙るとごめんと言った。
これで、もう、あいつにとらわれる事もないのだと思った。


その日の夜、雨の高速でスリップした車に巻き込まれ、あいつはあっけなく逝ってしまった。


プレゼントと思われる小箱があいつから見つけられた。
それは、「YtoK」と彫られたシンプルな指輪だった。

メッセージカードには印字された
「誕生日おめでとう。」
そして、その横にあいつの字が躍っていた
「海里、共に歩んで行こう!お互い回り道したけどな」


あいつがどこに向かっていたかはあいつにしかわからない。
それが、俺の家へと向かう道筋でも。

でも、そのプレゼントは俺あてで、それは事実で、やりきれない思いが俺を責め立てる。

そうして、俺はもう、あいつを二度と手にいれる事が出来なくなった。




だから、あいつに似た潤也を渇望した。

どうしても欲しい。

そう願ったのが通じたのか、潤也は俺を好きだと言ってくれた。
でも、潤也はあいつじゃない。

あいつを未だに思っている俺、潤也を身代わりにしようとしている俺。
そんな事許される筈もない。
だから、俺はどうする事も出来ないであいまいに答え、あいまいに笑うだけだった。


そんな俺にじれたのか、潤也は前触れもなく俺を犯した。

俺は潤也を俺の闇に引きずり込むのが恐ろしく、抵抗したが、渇望していたものを手に入れる喜びに負け快楽に身をゆだねてしまった。

巻き込んではいけない、と思っているのに、身体と心の一部が潤也を欲しがる。


潤也が触れるたびに、あいつの存在が俺の中を占める。
潤也に抱かれながら、あいつに抱かれた。


以前と同じように、俺は潤也を身代わりにしている。


それは、潤也も分かっているようで、俺と同じ、手に入らないものを求める目をするようになった。
あんなに太陽が似合っていたのに、暖かい笑顔を持っていたのに・・・・。

俺は潤也を俺の闇に落としてしまった。


これは俺の罪。


いつか、俺は潤也に落とされるだろう、もっと深い闇へ。
潤也と共に。



Fin
niconico.php
ADMIN